薬局間の在庫連携、なぜ進まない?

― 現場で感じる課題と、今できること

近年、医薬品の供給不安や出荷調整の影響を受け、薬局では「必要な薬が手に入らない」「逆に余って廃棄される」といった矛盾した状況が同時に起こっています。
そんな中で注目されているのが、薬局間で在庫を共有する仕組みです。

「この薬、どこか余ってないかな?」
「うちに在庫があるから、誰か必要としてるなら…」

そう思っても、実際には“連携の壁”が立ちはだかります。
今回は、薬局間の在庫連携がなぜ進まないのか、そして今、現場でできることを考えてみます。

在庫連携が進まない4つの壁

  1. 在庫情報が“見えない”
    他の薬局が何をどれだけ持っているのか、現状では電話やFAXに頼るしかないケースが多く、確認にも時間がかかります。
    その場でパッと検索できる仕組みがなければ、結局は諦めざるを得ないことも少なくありません。
  2. システムがバラバラ
    在庫管理の方法は薬局によってさまざまです。
    エクセル、専用ソフト、手書き台帳…形式が統一されていないため、横断的な連携が困難です。
  3. 見せることへの心理的な抵抗
    「自分の薬局の在庫状況を他所に見せるなんて…」という声もあります。
    在庫の“過不足”が外から見えることへの不安や警戒心が、連携のハードルになっています。
  4. ガイドラインやルールの壁
    医薬品の譲渡に関するガイドライン(日本薬剤師会など)では、適切な確認手順が求められます。
    ただ、現場では「面倒そう」「トラブルが怖い」という理由で、連携そのものを避ける傾向もあります。

じゃあ、どうすればいい?
解決のカギは、「小さく・安心に・無理なく始める」ことです。

🔸 見るだけでもOKなシンプルな仕組みを
「とりあえず載せる」「検索だけできる」といった、操作の敷居が低いツールが求められています。

🔸 限定された範囲で共有する
薬剤師会、薬局グループ、市町村単位など、信頼関係がある範囲で共有するだけでも十分効果的です。

🔸「助け合い」マインドを育てる
薬が余って捨てられるくらいなら、誰かの役に立った方がいい
そんな感覚が少しずつ広がれば、在庫連携も自然と加速していきます。

最後に:つながる準備、はじめてみませんか?
医薬品の安定供給がこれまで以上に難しくなっている今、薬局同士の“つながり”は大きな武器になります。
でも、それを実現するには、ちょっとした「仕組み」と「安心感」が必要です。

小さな連携からでも、始めることに意味があります。
薬局のための在庫共有ツール「やくドコ@」も、そんな連携の一歩を支える存在になれたらと思っています。